テクノロジーが世界を覆うことへの違和感からデザインは生まれた。

 今、僕は新幹線の中で暇になったので文章を書いている。いきなりだが、自分のアイデアなんてしょうもないもんなんだけど、僕がビジコンやら何かしらのプレゼンやらで自分のアイデアを作るときのマスト事項の一つとして、「課題になってるものの歴史を調べる」ということがある。最初は見本のようなプレゼンをする人がもれなくスライドに歴史を調べたことが書いてあったから始めたんだけど、今では絶対に課題に関するものの歴史を必ず調べるようにしてる。そして歴史を調べることはなかなか面白い。自分の今の生活では当たり前になっているものがどういう経緯で生まれて、広まって来て、今も残っているのか知るだけで、何気なく普段は見過ごしているものの奥に深い歴史を感じることができる作業だから。と同時に、今では生まれてから時が経ち、様々な装飾が付いて本質が見えなくなっているようなものの歴史の始まりを知ることで、「本質とはなんぞや」ということを知れるのも楽しい。

 という訳で僕は、気になったものの歴史を調べることが好きなんだけど、新幹線の中で友達に勧められた本を読んでたら、デザイン誕生の歴史について書かれていて面白かった。

下記引用

「テクノロジーが世界を新たな構造に組み換えようとするとき、それまでの生活環境に蓄積されていた美的な価値は往々にして犠牲になる。世界は技術と経済をたずさえて強引に先に進もうとし、生活の中の美意識は常にその変化の激しさにたえかねて悲鳴をあげるのだ。そういう状況の中では、時代が進もうとするその先へまなざしを向けるのではなく、むしろその悲鳴に耳を澄ますことや、その変化の中でかき消されそうになる繊細な価値に目を向けることの方が重要なのではないか。
デザインの発生は、美術史家ニコラス・ペブスナーがその著書『モダンデザインの展開』でも紹介しているように、社会思想家のジョン・ラスキンや、同じく思想家であり芸術運動家であったウィリアム・モリスの思想がその源流と考えられている。その源流を辿ると150年ほど前に遡る。「19世紀の半ば、イギリスは産業革命によってもたらされた機械生産で活気づいていた。しかしながら、初期の機械製品は、王朝装飾のなごりを残す家具調度のたぐいを「不器用な手」である生産機械が模するものであり、あまり胸のすくような造形物ではなかった。1851年のロンドン万博の資料を散見するとその様子が想像できる。手仕事が長い時間をかけて磨きぬいてきた果ての「形」が機械によって、浅薄に解釈され、ねじ曲げられ、異常な速度で量産されていく。そんな状況を目の前にしたとき、自分たちの生活や文化に愛着を持つ人々は、何かを失ってしまう危機感と美意識の痛みを感じたようである。粗雑な機械製品なヨーロッパのデリケートな伝統文化に抵抗なく受け入られるものではなかった。結果としてそれは、手仕事が育んできた文化やその背後にある感受性をむしろ顕在化させることになる。ものの周辺に息づいている繊細な感受性を踏みつけにして前に進もうとする機械生産に「我慢ならぬ!」とき鼻息も荒く異議を唱えた代表者がラスキンやモリスである。彼らの活動は乱暴で性急な時代変革に対する警鐘でありブーイングであった。つまり生活環境を激変させる産業のメカニズムの中に潜む鈍感さや不成熟に対する美的な感受性の反発、これがまさに「デザイン」という思想、あるいは考え方の発端となったのである。」 

普段、何気なく捉えているデザインって概念が誕生したのってたかだか150年前なんだね。ていうか、そもそもデザインって世の中を覆っていくテクノロジーに対抗していく中で生まれた概念なのね。自分が生きている中でテクノロジーが世界を覆っていくこと流れに抗うことは、空気が読めてないみたいに感じてしまうことが多い。けれども、そのような経緯で生まれたデザインという概念に今の世界が如何程に影響を与えられたかを鑑みれば、空気を読まずに違和感を形にすることも大事だなーと思った。

移りゆく世界は間違っている可能性もある。何気なく受け止める日々の流れにも疑問を持つことも大事なのかもしれない。

 持っていた本を読み終わり、窓から見える景色にも飽きて来たので、新幹線で暇になったので読書感想文を書いてみた。ところで夕暮れに新幹線からの景色を見ていると、普段は意識しない夕暮れの空の変化を感じれて面白い。普段はスマホでデジタル時計で時間を把握してるので、そうしていると時間はきっちりかっちりしたものに思えるけど、夕暮れを見ていると昔の人にとっては時間なんて印象派の絵画みたいにおぼろげなものだったのかなんて思う。移りゆく世界には多様な見立てがある。

特に言いたいこともなくなったので、あとは目を瞑って、東京に着くまで待ちます。

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