29歳になって振り返ると、進路もリコーダーのテストも似たようなものなのかもしれない話。

 僕の通う大学は文学部だけ二年生から神奈川のキャンパスから都内のキャンパスに移る。他の学部は三年生から移ってくることになる。僕は文学部なので、都内のキャンパスに通って三年目になる。

今年度よりそのキャンパスの自販機のラインナップからいつも飲んでいたドクターペッパーが消えてしまったことに最初の登校日に気付いた。(さらに第二の選択肢であるリアルゴールドも消えていた。)
Twitterを検索しても、僕以外は誰も話題にしておらず、うちのキャンパスでその2つの飲料を熱烈に支持している者はマイノリティーであることを知った。

そういった経緯で何も飲めなくて困っていることをバイト先の後輩である、同じ大学の三年生に伝えた。しかし、彼女は僕とは別の学部で、今年から都内のキャンパスに移ってきたため、そもそもその二つが自販機で売っていることすら知らなかった。

 

 「歴史は此のように更新されて忘れ去られていくのか…」と寂しい気持ちになると同時に、自分はもうすぐ大学から出て行く立場になったのかと驚いた。キャンパスに一日いても「さん付け」でしか呼ばれなかったりしたときも同じように思う。
ちなみに「レッドブルよりはドクターペッパーの方が体に悪くなさそう」という僕のイメージも後輩には伝わらなかった。ドクターペッパーは思ったより世の中でも支持されていないのかもしれない。

他にも気軽に平日から先輩を遊びに誘えなかったりして「来年の今頃には(たぶん)社会人かぁ…」と思うことが日々多いのだけれど、社会人になってる自分を想像するのは難しい。来年から働く会社も特に決まってないし。社会人が主人公の漫画を読んでいると、来年や再来年にはもっと共感できて読み方が変わるのかしら、と思う。

 

という訳で最近読んだ社会人が主人公の漫画で一番おもしろかったのが「A子さんの恋人」というハルタで連載中の作品である。(そう言えばハルタに載っている入江亜季の新連載、まだ読めてないなぁ)

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「A子さんの恋人」のストーリーについて、コミックナタリーの文章を引用すると下記の通りだ。

 

“29歳のアラサー女性・A子は、アメリカ留学を機に、恋人A太郎と縁を切ろうとする。が、うまく別れを切り出せぬまま渡米。そして3年後に帰国するも、人の懐に忍び込むのが上手なA太郎のペースにハマり、まんまと元の腐れ縁に逆戻りしてしまう。ニューヨークにもA君という恋人を作っていたA子は、三角関係という面倒な事態に頭を悩ませる。

優柔不断で、問題を先延ばしにしてしまうA子のクズ人間っぷりが招いた状況を面白がり、ニヤニヤ見守る女友達のK子とU子。30歳を目前に控えた、大人だけど少し大人じゃない、半人前の男女がとりとめのない会話を繰り広げる無責任シティロマンス。”

 

要は美大を卒業して数年経った、29歳社会人たちが恋人、友達、家族と絡みあうドタバタ劇なのだが、この漫画がめっぽう面白い。中高生のときにハチクロやらもやしもんを読んで「こんな大学生活が送れたら、楽しそうなぁ」と思っていたときに通じる「こんな社会人生活送れたら。楽しそうだなぁ」という読後感を得ることが出来る。登場人物たちは皆、手に職持ちで会社勤めではなく、ある程度のお金に余裕もあるようで、僕が進むことになるだろう進路とはだいぶ違うし、登場人物たちも面倒な悩みを抱えているのだけれど。

登場人物たちが29歳になっても、昔の恋人とか大学時代の人間関係とかずるずるとたくさんのことを精算できないまま、でも毎日楽しそうに生きていることに共感を覚える。「ああでもなく、こうでもなく」と少しずつ考えて生きていくことは楽しい。

 

「この人、僕のこと疑ってるなと思うと、ホッとするんだよ」
「誰か心の薄汚れた人で中和しないと…自己嫌悪で死んでしまいそう!」
「物の貸し借りは恋愛の基本よね」
などなどのパンチラインも炸裂しまくりの本作、超おすすめです!

 

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僕も周りの皆も就活で悩んでいるけれど、案外、29歳になってから振り返ってみれば、小さい悩みだったように思えるのではないかしら、とも「A子さんの恋人」を読んでいて思う。
小学生のときはリコーダーが苦手で、音楽のテストの前日は階段から飛び降りて、骨折して翌日休むかどうか本気で悩んでいたのだから。

 

いろいろ悩みはあるけれど、いろいろ頑張ろうと思いました。