ELMER #5 をやる理由、あるいは潜水艦のソナーの話

 ゼミの願書を無事提出し、大学の図書館でまどろんでいる。昨日から東京は陽気が立ち込み始め、昼ならば上着を一枚減らして外出できるようになった。願書を提出した後に同級生と「春休みに大学来てなかったら、忘れてたけど、そういやこんな感じだったなぁ、大学」と会話しながら、課題をやるために図書館に来るも、立ち込める陽気に眠気を誘われ、すっかり夢の中に沈んでいってしまっていたのだ。

 

 春がやってきた昨日から僕は去年の今頃と同じことを思い出している。それは上京してきたときの景色だ。僕は生まれてから大学進学を機に上京するまで一度も引っ越したことがなく、19歳の春の上京は人生最初の引っ越しだった。新生活への不安に包まれながら、自分の心の中で何かが終わっていく気持ちと共に東京にやってきた。実家から父親の運転する車で東京にやって来て、最初に印象に残った景色は新しく住むことになった家の近くを流れる川のほとりに咲いていた桜並木である。特に花に感動することもなくそれまでの人生を過ごしてきた僕であったが、そのときの桜並木は忘れることが出来ないほど、克明に覚えている。その景色を観たときの僕にはまだ見ぬ物語が始まる予感、それしかなかった。

 

 あれから二年が経った。今度の帰省は初めて車で帰ることになる。それも東京で出会ったご機嫌なグルーヴの友人各位を連れての帰省である。本当に楽しみだ。

 

///

 

 さて、いよいよ今週土曜日にELMER #5 を迎えることになった。

毎度ながらに今回もこうやって告知の文章を書いている訳だが困っている。

一ヶ月前に#4 の開催に際して、ELMERをやる理由を書いたばかりで、特段インプットも増えていないので、なかなか新しい言葉と形を与えるのは難しい。

もう今回は書かなくてもいいかな、とも思ったのだけれど、来るべきELMER #5 に向けての猛練習に追われている同居人に毎晩「まだ書かないの?」と聞かれていると書かない訳にもいかない。という訳でゼミの課題の進捗はすこぶる悪い中、今回もこうやって告知を書いている。今回は主演者の紹介もしたいので手短にコンセプトを伝えたい。

僕と島田(@shima_reon)が開いているパーティー「ELMER」は「違いが争いや差別ではなくロマンスを生むこと証明する」をコンセプトに開いている。

この世の中に「違い」というものが存在することは誰しも分かりきっていることだと思う。人にはそれぞれの考え方、感じ方、価値観、行動理論があるってのは基本前提で誰にでも備わっている。なおかつ僕らは基本的にお互いの違いを認めているからこそ、そうそう本質は変わったりしない。

そう、基本的に人間は俺、俺、俺、俺、俺。皆、バラバラだ。

だがしかし、そんな俺、俺、俺、俺、俺の皆様にも君やあいつやまだ見ぬ誰かは必要だ。

何故なら自分の中での考えに基づく正論は、潜水艦のソナーでしかないからだ。

自分が正しいと感じる、信じる意見をポーンと打って、返ってくる反響で地形を調べるのだ。ソナーじゃ道は開けない。ソナーは道を進むための頼りになる道具でしかない。

人生ってのは勉強と違って、道筋を与えられたりしない。

だから自分をより正しいと思える道筋へと照らしてやらなければならない。

ソナーを使えば、自分一人じゃ照らせない景色も「違い」のおかげで見えてくることだろう。

人生には誰かとの出会いは必須だ。

思いもよらない誰か、思いもよらない曲、思いもよらないバンド、思いもよらない思い出と出会うために、起きて、外に出て、週末はパーティーに出かけよう。

そして遊ぼう。

喋ろう。

踊ろう。

 

ディスコという場の確立以来、より明確に成り立ったダンスミュージックのシステム。

エネルギー循環、コンサートではなくパーティーという観念。

傍観者から参加者へ。

絶対的なスターよりも友達の笑顔。

世界の消費者ではなく、ほんのちょっとした何か。

ELMERで皆さんにお会い出来て、

僕らの道筋が照らされること、

あるいは僕らが誰かの道筋を照らすことが出来るように祈っています。

 

///

 

では出演者の紹介に移ろう。

live

・ふるえるゆびさき

f:id:rikky_psyche:20150318152640p:plain

  ELMERを始めるキッカケがこのバンドだった。僕が大学一年生の頃に失敗しない生き方とLove And The Kraftsという先輩の2バンドが自主企画をやるということで赴いた「流動化する大衆都市音楽/その衰退と隆盛にまつわる三つの中間報告」というパーティーで披露されたまだ見ぬ中間報告が「ふるえるゆびさき」というバンドであった。当時ぼ僕が自分と同い年の人間が作った曲で20年間生きてきて一番踊ったのが、この日であったと思う。ひたすらにグルーヴィー、グルーヴィー、グルーヴィーな音楽。けれども、少しずつ変わっていく都市で暮らす我々若者のリアルな希望と諦念。どこにでも行けるし、何にでもなれる、けれど同時にどこにも行けないし何にもなれないかもしれない、そんな僕たちが抱える矛盾する感情が内包されているように感じた。だらりと、のっぺりと過ぎていく時間の中で時折、訪れるドラマチックな一瞬の風景をこのバンドはライヴで見せてくれた。

 そして彼らとパーティーをやりたいと思ったのが、そもそもELMERというパーティーを始めるキッカケになり、無事に去年の2月のELMER #1 に出てもらい、大いに会場は盛り上がり、それから半年後にはメンバー2人の家に僕が居候を始める運びになった。

 彼らは去年の3月にライヴをやってから、ずっと活動を停止していた。その活動を停止る運びに関して、僕は詳しくは知らない。だが先日、僕が家に帰ると、リビングでメンバー二人が何やらワクワクするような話をしていた。詳しいことは教えてくれなかったが、今回のELMER #5は一回限りの再始動にならずにこれから本格的に活動再開のギアをあげていくようで、何やら2015年は彼らが面白いことをやってくれそうで楽しみだ。彼らのプロペラはまたご機嫌に回り始めた。一年ぶりにふるえるゆびさきが続きを聞かせてくれる。


ふるえるゆびさき - WATANUKI RHAPSODY〜プロペラ(13/08/03) - YouTube

 

 

・LATECKSMAN

f:id:rikky_psyche:20150318150926p:plain

 渋谷ROOMにて平均20歳のハウスミュージックパーティー「Juvenile」を立ち上げ、ハウスDJとして都内を中心に活躍していたDJであるmiyazima shotaroのライヴプロジェクト「LATECKSMAN」。昨年夏にベルリンにDJ留学をしに行ったきり、誰も連絡が取れず音信不通だったが、高校大学の同級生である、ふるえるゆびさき再始動の報を受けて緊急帰国。半年ぶりでの日本でのプレイが今回のELMER #5。と言いたいところだったのだが、実は彼はベルリンに渡ることに諸事情があって失敗、出国パーティーまでやって休学までしたのに向こうで暮らすことが叶わず、とりあえず時間を湯水のように持て余した。その持て余した時間を使うために高校の同級生であるふるえるゆびさきメンバーがいる我が家に遊びによく来ていたのが仲良くなったキッカケだった。僕自信も彼のライヴもプレイも見るのは初めてで楽しみだ。最近ハマっているギャグは金玉を抑えながら「ナッツ!」と言う一連の流れ。

 

・本日休演

f:id:rikky_psyche:20150318152449p:plain

 去年の三月に本日休演のライヴを始めてみたときのことはよく覚えている。今はなき池袋ミュージックオルグでのファーストアルバムのレコ発だ。どんなバンドかも知らずに、ふるえるゆびさきが出演するということで遊びに行ったそのレコ発での彼らのライヴは凄かった。週刊少年ジャンプの漫画の最終回みたいだった。その後、代官山UNITで行われたクラブスヌーザーで観た時もそう思った。バンドという生命体が持つアドレナリンを最大限まで放出するとこのような姿になるのではないだろうか?と思えるほどに熱く、観ている観客のバイブスも上昇し、ボルテージも高まらざるを得ない。いつも彼らはまさしくライヴバンドと言いたい圧倒的なパフォーマンスだ。久しぶりに彼らのライヴが観れるというだけで僕の気分は高まる。楽しみだ。 2枚目のアルバムももうすぐ出るらしい。ワクワクする。


本日休演 - すきま風の踊り子 - YouTube

 

・the oto factory

f:id:rikky_psyche:20150318152122p:plain

 地元関西で行われているイベントのフライヤーで「the oto factory」というバンドの名前を見つけて検索したのが彼らとの出会いだった。どうやら調べてみたところ、tofubeatsさんの大学のサークルの後輩らしい、ということが分かって、聞いてみたところ、まさしく僕が好きなサウンド、神戸の夜景が思い浮かぶアーバンな音楽であった。その時、今回のELMERの出演者を最後の一組、誰にしようか悩んでいたのが一発で解決した。奇しくも僕らと同世代、彼らしかあり得ないだろうと思った。ELMERのロマンスはきっと彼らが醸しだしてくれるだろう。そういう訳で恥ずかしながら僕もまだthe oto factoryのライヴは観たことがないのだが、関西で次々と大きなブッキングが決まっていくのを観ていると、そのパフォーマンスは保証されているだろう。このタイミングで自分のイベントに出演してもらえることになって、よかった。今月末には東京でもライヴするようだ。僕が最初に東京に呼びたかったので残念だが、これからどんどんデカいバンドになっていく風景が目に見えている。全部のアクトに対して言っていて申し訳ないのだが、本当にライヴが楽しみだ。

 

DJ

・ BlackglassG

f:id:rikky_psyche:20150319215409j:plain

関西に帰省した際に遊びに行ったRUBYという神戸のパーティーが終わった後に王将でご飯を食べていたときに後ろに座っていたのがBlackglassGさんだった。大学一年生の頃に新歓で遊びに行った早稲田大学のギャラクシーというヒップホップサークルの方々がtwitterで仲良くしていることをキッカケにtwitterをフォローしていたので、そのときに挨拶させてもらった。そんなBlackglassGさんのEPが今年の頭にリリースされた。日本のFuture Bassで僕は一番好きだ。このEPを聴いていると、ネオンサイン煌めく都会の姿が思い浮かぶ。ブレードランナーの未来都市を空飛ぶスクーターで飛び回っている光景が思い浮かぶ。そんなBlackglassGさんのDJを観るのもこれが初めて。楽しみ。何よりGさんとサブカルチャーの話が出来るのが楽しみだ。

 

以上のメンツに我々、sushi love crewに関西でELMERをやっているときは共同主催してくれているレオさんとELMERのVJをいつも担当してくれているito shotaroが加わり、今回のパーティーをお送りする。3月最後の思い出に是非。

 

最後にふるえるゆびさきのプロペラの歌詞を引用したい。

10年後の景色はどうだい?

半径1kmの暮らしの中で

何を思い何を感じそして何を生み出すか悩んでいるよ

二年前に見た桜並木、一年前の初めてのELMER、一年前に初めて観た本日休演、

何年経っても思い出す景色を10年後も観ていることを願いたい。

そして僕らの半径1kmの暮らしの中でそういった景色を確実に見れる瞬間は近づいている。写真じゃ切り取れないから、話せば白白しくなるから、3月21日の難波artyard studioで。

 

PS

格好つけずに言うと、こんな豪華なメンツのパーティーは二度とないぞ!

トレンドはいつだって遅れてやって来る!僕らが現状最先端だ!つまりは一年後に来なかったことを後悔するパーティーが今週土曜日にある訳だ!では待ってます!