健康優良知的不良少年少女雑誌「LIKTEN」の最新号が面白かった話

LIKTENという雑誌をご存知だろうか?

最新号を先日、購入して僕が夢中になった雑誌である。

この雑誌は小田明志という編集者により作られている雑誌なのだが、まずはどういった雑誌なのか、どういった人物なのか、ということを説明しようと思う。僕が説明するよりも、遥かに分かりやすい説明が日経トレンディネットにあったので引用させていただく。

彼の名前は小田明志。1991年6月、東京都生まれ。物心ついたときから絵を描くことが好きだった。中学2年生のときにm-floの楽曲に影響を受け、DJを始める。高校2年生のときには、イギリスを代表するクラブ「fabric」にゲストDJとして出演も。同時にイラストレーターとしても活動している。

 『LIKTEN』の創刊は2009年5月5日、こどもの日。平和ぼけした大人たちの目を覚ますような、ショッキングピンクの表紙が印象的だった。「長いものはぶった切る、出る杭は打ち返す、芸術で訴える―」(『LIKTEN』より抜粋)と宣言。内容は、パンク精神を伝える記事、オバマ大統領と麻生総理の風刺画、女子高生が舌を出した刺激的な証明写真などだった。

 続く2号である『LIKTEN 02』のテーマは「平和」。前号に込められた大人たちへの「反発心」は今、「核問題」へ向いているようだ。「オバマ大統領の核廃絶の演説を聞いて、違和感を覚えた。そのときの日本人の反応も面白くて。唯一、核を落とされた国なのに、『オバマさんがついにやってくれました!』なんて言っていて。日本は怒りを押し殺しながらうわべの友好を作っている」(本人談)。「僕は日本が好きだから守りたいと思う。そのために若者はもっと勉強すべき」とも。

 『LIKTEN』のテキストはすべて英訳付き。その意図について、「同じ文化の違う世代よりも、違う文化の同じ世代との結びつきが大事になってくると思う」と話す。あくまで意識は今ではなく、未来の日本、そして世界へ向いている。「左右どちらかに偏った考えで、机の上で議論するのはもう古い。世界の中の日本っていう感覚を持てば、もっと現実路線で考えていける。バランスをとるという考え方、僕はそれを示したい」(本人談)。

 自身の目標については、かつてイギリスでパンクブームを巻き起こしたマルコム・マクラーレンと重ねて語った。一つの肩書きに縛られず、自らがアイコン的存在となり「マルコム・マクラーレンのように、僕も小田明志というブランドを確立させて、雑誌に限らずファッションや映画のような他の分野でも『楽しい騒ぎ』を起こして世界中に広げたい」という。『LIKTEN』はあくまで、彼の壮大なプロジェクトの一環に過ぎないようだ。


多方面で話題 カルチャー誌『LIKTEN』の編集長を務める19歳は?(P2) 日経トレンディネット

 

その後、藤原ヒロシからの連絡によりハニカムで連載を始めたり、ファレル・ウィリアムスによるドキュメンタリー映画「東京ライジング」にも出演するなどして話題となった。

この雑誌を作るきっかけをRIP SLYMEの番組『RIP SLYME SHOCK THE RADIO』で2013年に聞かれた際にはこう答えている。

ストリート・キッズ向けの教科書を目指しています。スケボーや、DJ、MCをやっている人が文化を創っている役目に近いにも関わらず、文献だとかその人達の考えが書いてあるものに振れる機会って非常に少ないって感じていて、もしそういうアイディアソースに触れる機会があったら、もっと自分の作品も宣伝されたり、発表の場にもなるので、自分でそういう文化を創れるんじゃないかと思いました。それが雑誌を作るきっかけだったんです。


-RIP SLYME SHOCK THE RADIO- Powered by G-SHOCK

 

以上の流れを読んでいただければ分かると思うが、このようなコンセプト、このようなきっかけを元に作られている健康優良知的不良少年少女雑誌がLIKTENである。

これまで出版された3つの号の表紙はこのようなデザインである。

1号

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2号

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3号

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そして、この3つの号に続く最新号が先日、発売となった。

今号のテーマは「情報」である。

全体の構成としては最初に情報について小田明志氏の文章、続いて表紙にもなっている坂本龍一氏に対して行った、「情報」や「インターネット」に関するインタビュー。続いてsapphire slowsへのインタビュー。このインタビューではどういう経緯でNOT NOT FUNからリリースされることになったか、そしてこれからの展望などを聞いている。そして最後にティモシー・リアリーのスピーチの邦訳が載っている。

 

最初に書かれている「情報」に対する小田明志氏の文章が非常に面白かったので、ここではその話をしようと思う。

まず冒頭で小田明志氏は「情報」について、「愛」と似ていると語る。

どんな尊い愛も重要な情報も、形にしなければ存在しないことは変わらない。もし君に伝えたい愛があるのなら、伝えたいアイデアがあるのなら、迷わず形にするんだ。

この文章を読んで、僕がブログを真面目に書こうと思った理由としてボヤッーとしていたものを上手く言語化されてしまったと思った。人に伝えたいことは沢山あるのだけれども、きちんと形にするのが面倒で形にすることを諦めてしまっていた、そんな経験、誰にでもあるのではないだろうか。結局のところ、言語化しなければ、言葉にしなければ、文章にしなければ、何も伝わらない。迷ってる暇があるのなら、面倒くさく思っているだけなら、実践すべきなのである

またマスメディアというものに対してはこのように言及されている。

マスメディアが売り物にしているのは、ニュースそのものではなくて、それを分析する力、視点なんだ。そしてこれは、マスメディアに限った話ではない。たとえば、どんなにトレンドやニュースに詳しい人でも、それが雑誌や新聞にのっている情報の受け売りなら、魅力的には思えない。しかし、たとえニュースを知らなくても皆と視点が異なるひとはそれだけで魅力的だ。蝶を追いかけるようにトレンドを追うことに夢中になるのもいいけれど、ときには足元をみて、自分がどういう視点に立っているのか忘れないようにしなければならない。

この言葉もとても腑に落ちる言葉だった。twitterを中心としてネットで情報を追っていると、情報を最速で手に入れるゲームになってきている雰囲気を感じるが、そんなスピード感で勝負したところで自分と他者の間に差異を生み出すことは出来ない。そんなものは検索してしまえば誰でも手に入ることの出来る情報だからだ。グーグルがもたらした膨大な情報がどこでも手に入る社会で、その情報を整理してくれているキュレーションメディアが台頭しているように、重要なのはその膨大な情報をどう切り取るかということである。キュレーターakaソーシャルインフルエンサーの情報発信は付加価値を付けなければいけないと先日、ブログに書いた話をよりこの文章に適切に言い表されていると思った。視点という付加価値を情報に付けなければいけないのだ。

そしてラブレターという項の締めで編集長はこう続ける。

広く浅くはマスメディアに任せて、狭く深い情報発信を心がけるんだ。ただしそれは「狭く深く」が「広く浅く」に勝るということでもなければ、マスメディアの目の届かない場所で少人数を相手にしていろ、という意味でもない。ひとつのライヴ会場を一万人の観衆で埋めることを目指すのではなく、10人用のカラオケルームを1000室つくろうということだ。 

最近感じていた「大勢の人を集める=クオリティー高いプロダクト」というイコール式を誰もが信じ、誰もが目指すという方向性に疑問を感じていたことをこれまた上手く言語化されてしまったと思った。どんどんと僕たちを取り巻くものの適切化、そして選択肢の多様化が進む時代である。我々は、というより僕は狭く深い場所や情報を作ることをもっと考えないと。

そして最後にノイズという言葉への言及をこういった文章で締める。

もし君が苦労しながら、情報を伝えても、それは相手にとってはノイズのようなものに過ぎないかもしれない。だけど、伝え続けることを決して諦めてはいけない。たとえ君の発する情報が相手にとってはノイズだったとしても、いや、それがノイズだからこそ、価値があるんだ。

メイクサムノイズ

 という訳で僕もブログもパーティーもコミュニケーションもあれこれやを、もっと頑張ろうと思いました。

 そんなこんなで引用ばかりしてしまい、申し訳ない紹介になってしまいましたが、ここで書いてあることの一億倍ぐらい熱くていいことが書いてありますんで、プレミア付くのも間違いないだし、限定1000部だし、 amazonで買うか、代官山蔦屋書店かB&Bに走りましょう。sapphire slows氏がNOT NOT FUNからどういう経緯でリリースする運びとなったのかなど、ずいぶん前から気になっていたことを知れたりしたのも嬉しかったです。

 

メイクサムノイズ 。

gunosyに載っても、友人からのリアクションは殆どない、このブログも誰かのノイズになることを祈って、更新を繰り返していこう。

LIKTEN 04

LIKTEN 04

 

 小田明志氏がこれまた編集長を務める、先日発売されたサッカー選手の出ないサッカー・マガジン「OFF THE BALL」も面白かったけど、最近発売された書籍をあまりに引用するのは気が引けるので、この辺でブログは締める。