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フランシス・ハで話題のアメリカ映画のインディー最新潮流「マンブルコア」について、まとめてみた

夜中にtwitterを眺めていたら、後輩の福岡の浪人生がこんな呟きをしていた。

マンブルコアって何ぞやと思い、リンク先に飛んでみると山崎まどかさんの2009年のブログでした。その記事はこんな文章から始まる。

リンクレーターからダブル・アンダーソンまで。才能ある新人作家に恵まれた90年代と違って、ゼロ年代のアメリカにはインディ映画のムーヴメントはなかった……と思っている日本人は多い。
 実はゼロ年代を代表するひとつの流れが、あるにはあったのである。
 インディ映画の新しい潮流、あるいはその運動を表す言葉はマンブルコア(Mumblecore)。
 登場人物たちが何を喋っているか分からないため、音声係りが(恐らくキレ気味で)名づけたこの名称は、07年にIFCが「The New Talkies: Generation D.I.Y.」というタイルでマンブルコア映画を特集して以降、定着した。

なんだこれ全然知らなかった!と読んでびっくりした。一体、どんな映画なのかと気になり、読み進めるとこのような説明がされている。

まずは超低予算であることだ。
 インディ映画が低予算なのは当たり前だが、マンブルコア世代のお金のなさは尋常ではない。その多くはデジタル・ヴィデオ・カメラで撮られ、プロの俳優を雇う予算がないためキャストは監督本人とスタッフ、その友人がノー・ギャラで務めている。
 インディ映画作家の出発点としてここまではフツーのことだ。しかし、90年代のインディ作家が二作目、三作目でプロダクションと手を組んで、それなりの予算でステップアップしていったのに対し、マンブルコアの監督たちは超貧乏なまま、何作も仲間内で映画を撮り続けている。
 マンブルコアの監督たちは映画祭巡りで知り合い、それぞれの映画にキャスト/スタッフとして参加し合って人脈を横に広げていってはいるのだが、横に広がる一方で、大手の映画会社や小回りの利くプロデューサーたちと縦の関係を結ぼうとはしない。だから作品は評価されながらも超小規模公開で終わり、アメリカの大都市以外では知られず、また国外に出ることも稀である。外国映画そのものに興味を失っている日本では一本も公開されないどころか、DVDスルーの候補にすらならず、まったく話題にもなっていない。
 しかし逆にこの「閉じた感じ」こそが日本の同世代の雰囲気とすごく共鳴しているのだ。
 マンブルコアの映画の題材は、非常に閉ざされたサークル内での人間関係である。二十代半ばの男女が、特に仕事をする訳でもなく、何かに情熱を燃やすこともなく、何となく仲間と会ってだべり、半径1キロ当たりをうろついて、すれ違い、「そこんところは何となく分かるだろ」的なことを言い合い、別れる。それがマンブルコア映画の全てである。映画に出てくる人々は基本的に素人なので、美男美女ではなく、フツーの人のフツーの会話なので、(多くの人がエッジの効いたインディ映画に期待するような)洒落たセリフなどひとつもない、どころか、何やら口の中でぶつぶつと呟くばかりで、本当に何を言っているのかサッパリ分からない。「You Know,I mean…○×△□」マンブルコア映画を字幕なしで見るのは修行だ……ネイティブでも聞き取るのはラクじゃないだろう。
 ドラマもない。起伏もない。でも、そんなどうしようもない日常が映画になりうることをマンブルコアの作家たちは証明した。

 

 現状、僕はまだマンブルコア映画を観ていないので、何とも説明できないのだが、このようなジャンルであるらしい。リチャード・リンクレイターのslackersみたいな雰囲気だと思いながら読んでいたら、どうやらリチャード・リンクレーターは2010年頃からマンブルゴアの映画作家と親交を深めているよう。

2010年には岡田利規も言及していたようで、かなり昔からこういったカルチャーに精通している人たちの間では話題になっていたよう。うーん、情報を四、五年間も逃し続けていた自分が悔しい。岡田利規がどのようなふうに言及しているのか気になったのだが、件のチェルフィッチュのブログは放置されてしまっていたようで「21世紀最新シャンプー情報ブログ」になってしまっていた。

 

という訳でマンブルゴア映画を観てみようと思いたち、どんな映画が日本語に翻訳されてるか調べてみたのだが、日本語でどういったものが翻訳されているかまとまった記事がなかった。なので、調べたついでにまとめてみた。

 

「ドリンキング・バディーズ」

ビール工場に勤務するケイト(ワイルド)とルーク(ジョンソン)は、男と女の枠を越えて心から許し合える親友(&飲み仲間)。
そんなある日、二人はお互いに恋人を伴って休暇を過ごす計画を立て、ケイトの彼氏クリス(リヴィングストン)の別荘へ行くことに。
ところが、楽しいダブルデートになるどころか、この休暇をキッカケにそれぞれの関係性が微妙に狂い始める。

マンブルコアの中心人物であるジョー・スワンバーグ監督の作品。去年の東京国際映画祭に出品されていたようで、そのときが日本では初めての公開だった模様。タランティーノの2013年ベストにも選ばれていたようで、評価が高く、面白そう。タランティーノは生涯ベストにマンブルコアと共鳴する90年代にスラッカサヴェテスとくくられたジャンルの傑作である、前述のリンクレーターが監督を務めた「バッドチューニング」もあげていたし、リアルな若者像を描く映画が好きなようだ。

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映画「ドリンキング・バディーズ」予告編 - YouTube

 

 

ちなみに監督のジョー・スワンバーグはホラー映画界の次世代の監督として名前のよくあがるアダム・ウィンガード監督の作品に出演していることが多いよう。アダム・ウィンガード周り(V/H/Sアンソロジーを撮っている人たち)ホラー映画はマンブルコアをもじってマンブルゴアと呼ばれているよう。意外と日本でマンブルゴア映画が公開されているところを見ると、日本ではホラー映画はかなり需要があるのかしら。

先週公開されたアダム・ウィンガードの新作「ザ・ゲスト」

ハロウィン間近、ある家庭に戦死した息子の友人という青年デビッドが現れ、人柄も容姿も完璧な彼を一家は快く迎え入れる。デビッドは家庭内の問題を解決するなどし、家族との距離を縮めていくが、徐々にその隠された裏の顔が明らかになっていく。やがて事態は特殊部隊も巻き込んだ壮絶な銃撃戦へと発展。平凡な家庭が一転して戦場と化す。

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『V/H/S』シリーズなどを手掛けたアダム・ウィンガードが監督を務めたサスペンス!映画『ザ ...

 

ジョー・スワンバーグが出演しているのはこの二本

「サプライズ

両親の結婚35周年を祝うために家族10人が集まる。しかし、そこへ突然キツネやヒツジ、トラといった動物の仮面をつけた集団が現れたことから、逃げ場のない密室で予測不能な事態が次々と巻き起こる。 


映画『サプライズ』予告編 - YouTube

 

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「ビューティフル・ダイ」

脱獄し殺人を繰り返しながらかつての恋人のもとへ向かう殺人鬼の現在と、2人が愛し合っていた過去の姿を交錯させながら描く。恋人が殺人鬼であることを知ったサラは自ら警察に通報し、愛を終わらせたが、そのことがきっかけでアルコール依存症になってしまう。一方、サラの通報により投獄されたギャレットは、看守を殺して脱獄。猟奇的で残虐な本能を抑えることができず、殺人を繰り返しながら、かつて愛した女サラのもとへ向かう。


映画『ビューティフル・ダイ』予告編 - YouTube

 

ビューティフル・ダイ [DVD]

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ちなみにマンブルゴア周辺のホラー映画作家ではタイ・ウェストという作家も注目されているよう。彼もドリンキング・バディーズやサプライズに出演している。 イーライ・ロスにも注目されているとの噂から察するに間違いなく面白そうである。ABCオブデスやV/H/Sシンドロームを除けば、今のところ日本で観れるのは二本。片方はキャビン・フィーバーという続編なので、監督としてノリノリだったのか定かではないので、こちらではもう片方の一本を紹介する。

 「インキーパーズ」

ニューイングランド地方にたたずむ、長い歴史を誇る古びたホテル。老朽化と業績悪化のため閉館が決まり、従業員のクレアとルークは閉館までの間ホテルの管理を任される。かつてこのホテルでは、結婚式当日に新郎に捨てられた女性が、客室で首つり自殺を図るという痛ましい事件が起きていた。その日以来、花嫁衣装に身を包んだ亡霊が、まるで新郎を探すように廊下をうろつき回る姿が目撃されていた。オカルトに興味のあるクレアとルークは調査を開始するが、誰もいないロビーからピアノの音が響く夜、クレアは自分を呼ぶ謎の声に導かれ、開かずの地下室へ足を踏み入れてしまう。

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『インキーパーズ』 予告編 - YouTube

インキーパーズ [DVD]

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 マンブルゴアの話題が続いたので、マンブルコアの話題に戻る。

マンゴルコア映画で初めて日本で大きく公開された初の作品がこちら

「フランシス・ハ」

モダンダンサーを目指し、ニューヨーク、ブルックリンで親友ソフィとルームシェアをしながら楽しい日々を送っていた27歳のフランシス。しかし恋人に振られ、ソフィとの同居生活も解消になってしまったことから、居場所を求めて町を転々とするはめになる。周りの友人たちは次々と身を固めていき、焦りも感じたフランシスは、自分の人生を見つめ直していく。

ウェス・アンダーソンが製作を務めた「イカとクジラ」の監督として知られるノア・バームバックの作品。この映画で主演・共同脚本を務めるグレタ・ガーウィグは先述のジョー・スワンバーグとコンビでマンブルゴアを代表する作品を作っており、マンブルゴア界のミューズの模様。

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映画『フランシス・ハ』予告編 - YouTube

 

このフランシス・ハはノア・バームバックがマンブルゴアから影響を受けて撮っていることは間違いないのだが、他にもマンブルゴアから影響を受けて作品を作っている。しかもフランシス・ハと同じくグレタ・ガーウィグも出演している。それがこちらの作品である。

「グリーン・バーグ」または「ベン・スティラー 人生は最悪だ!」

精神病院から退院したばかりの40歳の男ロジャーは、長期旅行に出かけた弟家族の豪邸を預かるため、久々に故郷ロサンゼルスを訪れる。昔の仲間たちと再会を果たすも、彼らの変化にますます孤独感を募らせていくロジャー。そんな中、ロジャーは弟のアシスタントとして働く女性フローレンスと急接近するが……。

取り扱ってる会社によってタイトルの違う本作。日本では DVDで未発売ですが、有料ですが YouTubeで見ることが出来たり、 iTunesでレンタルすることが出来たりするようです。

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山崎まどかがグレタ・カーヴィッグにホイット・スティルマンも接近していると書かれているので調べたところ、彼女主演でダムゼルズ・イン・ディストレスという映画を二年前に撮影したよう。内容は「転校生と3人の女子大生が、男子に支配されているセブン・オーク大学の風紀を変えながら、校内にある自殺防止センターで悩める学生たちを救っていこうとする青春コメディ」らしく面白そうですが、日本では訳されていないよう。

 

 

どうやら調べてみたところ、現在、日本語に翻訳されているマンブルコア映画はこれぐらいの模様。もっと上陸してほしいと言いたいところですが、とりあえず今回調べた作品を観てみるところから始めようと思う。